SAT 真の患者利益のため予防歯科を中心にした歯科医療へ

SATについて


2010年 新年のごあいさつ

日吉歯科診療所 熊谷 崇

新年あけましておめでとうございます。

早いもので、新世紀も10年目を迎えました。皆様それぞれ決意を胸に秘めて新しい年を迎えられたことと思います。

歯科医療に新しい視点と展開を持ち込みたいと始まったオーラルフィジシャン育成セミナーには、これまで多くの方々にご参加いただきました。現在、日本中のあちこちにオーラルフィジシャン診療所が生まれ、それぞれが地域に根ざした活動として展開されていることを大変嬉しく思っています。

さて、私がこのようなセミナーを立ち上げた目的の一つは、治療中心だった歯科医療を多くの人々の健康を守る歯科医療に変えていくことにあり、そのために当初は歯科医療の予防的な側面を強調して参りました。しかし、実際の臨床においては、予防的な歯科医療をベースとしながらも、エビデンスに裏付けられた治療を適切に行うことが求められます。

しかしながら、現実には日本の歯科医学教育の貧困もあり、例えば歯周治療の基本ともいえるSRPや、充塡処置における感染象牙質の除去法や歯髄の保護のための対応でさえも十分な治癒を期待できるスキルや能力を持たないことで、思い描いた歯科医療を十分に発揮できないジレンマに苦慮する診療所の姿があったことも事実です。今更申し上げるまでもありませんが、私たちが目指している歯科医療は、歯科医師や歯科衛生士をはじめとする全てのスタッフの知識や技量が一定以上のレベルを保っていることではじめて成立するものです。MTMが出来ているだけでは、患者さんに対して責任ある治療を提供することができず、また診療所の総合力を評価することもできません。

そこで、オーラルフィジシャン育成セミナーの活動の一環として、そのような歯科医療を支えるためのベーシックなスキルを学んでいただくために、中山吉成先生によるスケーリング・ルートプレーニングの訪問セミナーや宮崎真至先生によるCRセミナーなどを提供してまいりました。今後は、それらのセミナーを継続することに加えて、咬合や補綴治療の基本から学び直していただくためのセミナーも開催したいと思い、皆様の要望もお聞きしながら準備を進めたいと考えております。毎日行っている臨床を最新の考え方でもう一度見直し、ブラッシュアップすることで、より患者さんに信頼してもらえる歯科医療を構築できるように支援したいと思っています。

また、日本の歯科医療を客観的に見直し、最新の歯科医学を学ぶ機会を得るための海外研修も引き続き開催の予定です。7月の第一土曜・日曜日には例年通りにチームミーティングも開催いたします。詳細が決まり次第、追ってご案内したいと思っておりますのでご期待ください。

そして、今年からオーラルフィジシャン診療所の総合力を評価するシステムを立ち上げ、それをSATのHP上で公開したいと考えています。MTMを実践し、様々なセミナーを受講したのであれば、それが診療結果として反映されていなければなりません。そうした評価をどのように行うかについて、これまでいろいろ考えて参りましたが、ようやくその評価システムが出来上がりました。これまで、患者データの大切さについては繰り返し申し上げてきましたが、今後はそのデータがきちんと出せるかどうかを含めて、評価の対象になります。
これについても、近々その概要をお知らせしたいと考えておりますので、楽しみにお待ちください。
(今回は日吉歯科診療所において、現在各種調査のために使用しているファイルを別途掲載致します。)
オーラルフィジシャン育成セミナーでは患者さんに信頼され、本当の意味で患者利益を提供することの出来る歯科医療を目指しています。それは診療のシステムの変換や説明の上手さでできることではなく、ましてや小手先の変化で達成できるものではありません。歯科医療の本質をきちんと胸に刻み、その理念を具現化する医療者としての実力を備えたものだけが達成できる目標です。
新しい年の始めに、皆様にはこのような心構えを再度確認していただき、日々の診療に取り組んでいただきたいと願っています。今年も皆様のご活躍とご健闘を心よりお祈りいたしております。