SAT 真の患者利益のため予防歯科を中心にした歯科医療へ

セミナー


オーラルフィジシャン・チームミーティング2019


◆追加講演

『社会は変えられる 世界が憧れる日本へ』(仮)

江崎禎英さん
講師:江崎禎英(えさき・よしひで)さん

岐阜県出身。1989年東京大学卒業、通商産業省に入省。大蔵省出向中の金融制度改革を皮切りに、個人情報保護法立案(内閣官房)や薬事法改正など、省庁の壁を越えて数々の制度改革に奔走。2017年より、経産省商務・サービスグループ政策統括調整官兼内閣官房健康・医療戦略室次長。天通合氣道師範。

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すべての医療者 必読の書
「社会は変えられる 世界が憧れる日本へ」


激動の時代、だと言われて久しい。類をみないスピードで超高齢社会になった私たちの乗った船が、今までと同じ規範のまま進んでいった場合の悲観的情報はあふれている。
しかし、日常の生活感覚として危機を自覚している人は少ないのではないか。また意識していたとしても、将来に向かって、何をどう変えていけば良いのか、何を目指して、どのように舵をとっていけば良いのかの全体像がみえてこない。その不安の中に、多くの人がいる。目の前の具体的な行動として、何を指針にし、どのように動けばよいのか、自信をもって変化に応えている人は、ほとんどいないのではないか。


著者は、この不安を作り出している問題の本質に、まずメスをいれる。現状のデータを詳細に調べ、現場の本音を聞き、問題の俯瞰図を描いてみせる。
素晴らしいのはここからの展開である。すべての決まり文句を取り払った、これからに向けての提言である。希望と愛情あふれる将来ヘの視線に、読者は一歩を踏み出す勇気を与えられる。
世の中を変える力になるのは、悲観ではなく、明確な意思を持った楽観主義であったはずだ。いたる所に、引用したくなる文章が出てきて、読んでいる本に付箋が増えていく。著者が現役官僚として、様々な分野で、周囲がありえないと口をそろえた改革を成し遂げてきていることが、説得力を持って響く。


この中では、医療が果たすべき転換と、次の世代へ光をもってつなぐための役割が大きく取り上げられている。大きな経済負債になる医療から、新しいコンセプトのもとに再編成された医療が、どんなに可能性に満ちたものになるか、外からの光に照らし出していく。


議論から鑑みて、歯科医療が進むべき道は目の前に見えている。私たちが、オーラルフィジシャンとして歯科で行ってきた今までの努力は、本書の訴える未来図にベクトルが揃っている。それどころか、歯科医療が、維持可能な社会を創り出すための、リーディングエッジになる可能性が示されているではないか。


個人の小さな一歩が、社会を変える大きな力となるために、その小さな一歩を踏み出す人の集合が必要である。社会を変えていくその力は、この本を読む一人ずつの手中に、必ずあると思う。すべての医療者が日々勇気をもって生きていくために側においておきたい書、である。


チームミーティング2019にこの本の著者である江崎さんにお願いして講演して頂くことになりました。多くの参加を期待しています。


熊谷崇



不可能を可能にしてきた現役官僚から未来を学びに酒田へ行こう!


2019年歯科界で最も価値ある講演です。

「予防によって医療費は減らない」という医療経済の常識を成り立たせているものは何かなど、社会の行く末を総合的に考える現役官僚から「未来学」を学びに酒田へ行こう!


高齢化社会、人口減少、社会保障制度の機能不全、雇用喪失、地方都市の衰退など、縮む日本社会の現実に対して、歯科医院はどのような備えをしているのでしょうか。「今のうちに稼げるだけ稼いでおこう」と内心では思っているかもしれません。この思いの根っこには、今までなんとかなってきたので、「先のことは考えない」という歯科医師の心的傾向があります。


それは高度成長期に前後して国民皆保険制度が発足し、子供のむし歯洪水時代に歯科医師不足が重なり、それが一段落するとバブル経済を迎えインプラントや審美治療がトレンドとなり、そうこうしているうちにお受験ブームに便乗して歯列矯正の需要が伸びるといったように、この約60年間、歯科医師は時代の上げ潮に乗って勝ち戦をしてきたのです。勝つときはそれほど頭を使う必要はありません。その結果、21世紀のはじめに人口がピークアウトすると知ってはいても「それがどうした」「先のことは考えない」と、なるわけです。


しかし、歯科界がこれから迎える時代は、運だけでどうこうなる時代ではありません。言わば今まで繁栄してきた60年に対する後退戦です。後退戦の目標は勝つことではなく負け幅を小さくすることです。頭を使います。さらにそこから新たな歯科医師の生きがいを持ち、新たな価値を社会に持ち込まなければなりません。さらに知識と知恵が必要になります。「稼げるだけ稼いでおく」では、負け幅を小さくして「食ってはいける」の論議をしているにすぎません。そんな虚しい話をするために、歯科医師になったわけではないはずです。新たな価値を見据え「社会の未来」を考えることで、歯科医師としての生きがいも歯科医療の価値も上がり、社会貢献もでき社会からも歓迎される存在になれるのです。


歯科医師が「社会の未来」を考えると力んでみても、当の政治や行政は何をしているのやら、誰を相手に話せばいいのやら?まともな話し相手がいないのでは、という声が聞こえてきます。もっともな意見です。現在の政治も行政も、東京一極集中から地方分散へ、定年の延長と高齢者の就労促進、年金支給年齢の引き上げ、婚活や育児支援といった当たり障りのない方針を示しているだけです。行政のどの部署が対応策を起案して、その適否の基準をどうするのか、誰が判断するのか、民間をどのような形で巻き込んでいくのか、その合意もルールも曖昧なままです。要は政治にも行政にも、社会の行く末を総合的に考える中心的な人がいないのです。しかし、江崎禎英氏の著書『社会は変えられる~世界が憧れる日本へ~』を一読して、私の考えは一変しました。江崎氏は社会の行く末を総合的に考えられる希少なキャリア官僚であるからです。


その江崎氏が、急遽チームミーティングに登壇してくださることになり、一部プログラムを変更してお迎えすることになりました。有意な歯科医師には、千載一遇のチャンスです。これからの社会の形はどう変わっていくのか。それについての中長期的な予測を立て、それに対して歯科医師は何ができるか、何をなすべきか、今できることは何か、社会を明るくする「未来学」を学びに10月5日6日はぜひ酒田へいらしてください。


SAT事務局 伊藤日出男




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オーラルフィジシャンチームミーティング2019