SAT 真の患者利益のため予防歯科を中心にした歯科医療へ

歯科界の常識を超えるためのパブリック・コメント

活動報告



NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」~ぶれない志、革命の歯科医療が放映されました 「カンブリア宮殿」に熊谷崇が出演しました日吉歯科診療所 あしたのコミュニケーションラボ

歯科関係者感想

戻る


つきやま歯科医院

歯科医師 梶谷 啓介

先日放送されたNHKプロフェッショナルは歯科において革新的な番組となった。今までの歯科に関連する番組では『齲蝕、歯周病を予防するにはどうすれば良いか?』、『歯周病と全身疾患との関わりについて』などの内容のものは多数あった。そのような番組では、「正しいブラッシングと定期的な歯科医院への通院が大切です」などという結論で締めくくられて終わることが多い。各論のみ取り上げて、本質はなかなか伝えられていないように思えた。
しかし、先日のプロフェッショナルの内容は、今までの歯科医療のスタイルとは一線を画す診療を行ってきた熊谷先生の特集であり、各論というよりは歯科医療の本質に迫るものであった。

歯が痛いという主訴で歯科医院に足を運んだ患者に治療はせず、検査を進めるシーンがあったが、そこで驚いた視聴者は多いだろう。なぜ痛いのに治療してくれないんだと。現代の日本においては、医科でも歯科でも「痛くなったら行くもの、困ったら行くものという」考えが患者の中には根強くあるからだ。ただ、番組を最後まで見ると、痛いところだけ削って埋める歯科治療がいかに患者の歯を失わせてきたか?歯科医は目先の治療、患者の要求に応えたと思いつつ、実は患者の利益にはならない医療を提供していたことが良く分かる。検査や患者教育を通じて患者自身がまず口腔内について意識し、リスクを把握し、口腔内の価値観を上げないことには、その人の歯を生涯守ることはできない。検査や初期治療などで通院回数も多く治療終了まで時間も回数もかかるのは一見遠回りにも思えるが、実は生涯患者の歯を守るためには一番の近道で歯科医療の王道である。

その後のメインテナンスも欠かせない。患者の口腔内の変化、意識の変化を担当衛生士が敏感に察知し、一生涯寄り添って診ていく。そしていつしか患者にはマイハイジニストという意識が生まれてゆく。その結果冒頭のシーンであったような、するめをかじる80代の笑顔が素敵な老人達が多く生まれる。

しかし、そのような歯科医療の王道を歩むのは決して容易い道のりではない。番組の後半で登場した岡先生のシーンはそれを如実に表している。つい目先の患者に迎合してしまい、患者自身の意識が変わる前に困りごとだけを解決した結果、その患者は通院しなくなる。その患者は今後、治療を繰り返し、自身の大切な歯を失っていくだろう。医療者側の覚悟、ブレない信念が求められる。

MTMが成功した1割の医院に含まれるつきやま歯科でも、今後メインテナンスの自費化に伴って一つの壁が生じるだろう。その時に一番大事なのは、やはり医療者側の覚悟、ブレない信念である。今まで以上にメインテナンスの価値、意義を伝えていき、患者の口腔内を一生涯守るという使命を全うしなければならない。